墨田区公契約条例制定に関する事務局長談話

掲載日:2023年10月3日

                                                             2023 年10 月2日

墨田区公契約条例制定に関する事務局長談話
―都内で15 番目、23 区内では12 番目の条例。23 区内で条例制定区は過半数に―

                                                     連合東京
                                                            事務局長 斉藤 千秋

 

1.2023 年9月29 日、墨田区議会(以下、「区議会」という。)は、墨田区公契約条例(以下、「条例」という。)を付帯決議とともに全会一致にて可決した。2023 年10 月1日に墨田区公契約審議会の設置および労働報酬下限額の決定等が施行され、2024 年4月1日に条例が全面施行される。都内自治体の公契約条例のうち、条例は15 番目、23 区内では12 番目に制定された。23 区内では公契約条例制定区が過半数となった。

2.連合墨田地区協議会はこれまで、墨田区(以下、「区」という。)に対し、いわゆる「ILO94 号条約型」の公契約条例(以下、「I LO 型条例」という。)の制定を求めてきた。ILO 型条例は、区と受注者との公契約により、対象事業で働く労働者等への労働報酬下限額の支払いを義務づけるものであり、実効性が高く、賃金条項のある多種の条例に比べ事業者や行政の事務コストが低く、法的問題もない。

3.区は、2022 年度以降に関係団体の意見聴取等を行い、同年度11月に墨田区議会(以下、「区議会」という。)において、条例(案)の基本的考え方について報告し、2023年7月3日の区議会総務委員会において、「令和5(2023)年4月には、関係団体等への第3回ヒアリングを行い、最終的な意見聴取を終了している」と説明し、ILO 型条例(案)を報告した。

4.しかし、区は、2023年7月から8月上旬までの間に実施したパブリックコメントでの意見をうけ、条例(案)をI LO 型条例の要素である「受注者の連帯責任条項」のないものに変更し、同年9月11 日、区議会へ出し直した。この変更により、公契約による下請事業者等のもとで働く労働者等への労働報酬下限額の支払い義務および当該労働者等の賃金等請求権がなくなり、当該支払いの担保が課題となった。

5.2023 年9月25 日の区議会総務委員会では、多くの会派議員が労働報酬下限額の支払いの担保に関する課題を指摘した。その結果、区議会全会派一致で、条例案について、①区が労働者に対し労働報酬下限額および報酬がそれを下回った場合の通報先の周知、②労働者に対する労働報酬の支払状況の定期的な議会への報告、③状況に応じた条例改正も含めた実効的な対策の検討を行う旨の付帯決議を確認し、その後の本会議にて付帯決議とともに条例が可決した。

6.条例は、賃金条項のあるものとして一定の評価ができるものの、条例の実効性確保、事業者や行政の事務コストの低減などの課題が残る。今後、墨田区公契約審議会、区議会において対象労働者等への賃金等支払い状況や条例の効果を確認するとともに、区、事業者、労働者、区議会の対話を通じ、課題の共通認識のもと、条例や施行規則等の必要な改善を図ることが重要である。

以 上

墨田区公契約条例制定に関する事務局長談話

 
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