令和2年度東京地方最低賃金の決定に対する事務局長談話

掲載日:2020年8月6日

連合東京

事務局長 斉藤 千秋

 

 昨日、令和2年度の東京地方最低賃金が「現行通り(引き上げ額ゼロ)」と決定した。この事は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という見えない恐怖にあっても、各労使が真摯な交渉を重ねて導かれた2020春闘の賃上げの実績や、人手不足が続く各業界を蔑ろにし、最低賃金の引上げが雇用調整の引き金になることに終始し、客観的な過去のデータ(最低賃金の引上げが雇用に与える影響等のデータ)を示さないまま、審議を行った結果である。新型コロナ禍の中にあっても、実直に日々働いているエッセンシャルワーカー(キーワーカー)や、国内に足止めされている外国人労働者、生活困窮に陥っている学生アルバイトなどの最低賃金、社会的なセーフティネットの一つを引上げられなかったことは、痛恨の極みである。

 東京の最低賃金は、日本で最も高い水準であるが、1年間の労働でも年収200万円に届かない額にあることは、早急に改善していかなくてはいけないと考える。

 今回の最低賃金をめぐる唯一の救いは、他県の審議がこれまでの公労使による審議経過を尊重した有額回答であり、東京の水準が据え置かれたことにより、中央の審議会で労働側が最後までこだわっていた地域間格差が縮小されたことである。

 

 今回の決定を受け、使用者側の経営者団体には、直ちに会員企業に対し、安易な整理解雇をやめさせ、失業者を出さない経営努力を求める。また、国や自治体においては、やむなく失業した人々の生活の維持に向けた支援や、失業期間を長期化させない実効的な就労・能力開発支援の強化を求める。

 

 新型コロナの影響による歴史的に厳しい社会状況が続く中でも、最後まで粘り強く交渉にあたった労働側委員と、会議を傍聴された方々、審議経過を見守っていただいた方々に感謝申し上げる。

 連合東京は、今回審議結果としては実らなかったが、長期化するコロナ禍で、加盟組織との一層の連帯と、労働組合の無い企業に働く人からの労働相談対応等を強化することなどで、今後も一層「雇用と生活を守る」ため、労働組合の社会的責任を果たしていく。

 

以 上

 
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