連合東京

労使で解決できない
課題は政治で!
現場の声が国を動かす

参議院議員
小林 正夫さん

連合君

1989年に結成された連合東京。小林さんは初代政策局長として4年間を務められました。当時の心境と連合東京の雰囲気を教えてください。

小林正夫さん

小林さん:連合東京に派遣される前は、単組での組合活動が中心。そのため、日々緊張と初体験の連続でした。そんなとき励みになったのが、当時の連合東京会長・和田正さんからの「せっかく派遣されたのだから、何でも熟せ(こなせ)」という言葉。優しい口調でしたが、この言葉で引っ込んでいた自分の気持ちが前を向きました。また、当時の連合東京は、非常に明るく「みんなで頑張ろう!」という活気にあふれていたと思います。初めて活動する仲間も多く、昼間の会議はもちろん夜の飲みにケーションまで、自分たちの想いを語り合ってお互いを知る時間を大切にしていましたね。

連合君

小林さんは政策局長として、地方公共団体や経営者団体等への要請活動を精力的に展開されましたが、特に印象に残っていることは何ですか?

小林正夫さん

小林さん:連合東京に集う多くの仲間の意見を取りまとめ、政策にしていきました。その過程で重要なのが、体験を基に政策を自分たちのものにしていくことです。たとえば、通勤ラッシュの緩和に取り組んだこと。データから当時一番電車が混むとされていた路線と区間を調べ、政策局の仲間とともにラッシュ時の車内を体験しました。この経験も含めて政策を固め、街頭キャンペーンの実施や、経営者団体向けに時差通勤をはじめとする快適通勤に関する申し入れを行いました。政策局の活動を通して、東京全体の現在と未来を見据え、地域をより良くしていくことが連合東京の役割だと気付きました。

インタビューは小林議員の参議院議員会館事務所で行いました

連合君

その後、連合東京を退任し東電労組本部副委員長となり、ほどなくして参議院議員選挙に出馬されました。どのような経緯で参議院議員の候補となったのでしょうか?

小林正夫さん

小林さん:連合東京での経験から「労使で解決できない課題は政治で!」という想いが強くなっていました。そんな中、電力総連の先輩議員が勇退の意志を表明され、次期候補者にならないかと打診されたのです。先輩や組合員の皆さんが勝利し守ってきた参議院の議席を、守らなければという想いからお話をお受けしました。

連合君

労働組合の役員から一転、候補者となったわけですが、比例区での出馬ということもあり、全国回りなど苦労もあったのではないでしょうか。

小林正夫さん

小林さん:これまで、3回選挙活動を経験しましたが、全国回りを苦労と感じたことは微塵もありません。北海道から沖縄までどこの組織に行っても、立候補理由と決意を真剣に聞いてもらえ、応援の言葉や拍手、握手をたくさんいただきました。むしろ皆さんからの激励は、全国回りをする私のエネルギー源です。

連合君

激励を得られるのは、きっと小林さんの言葉が組合員のみなさんに届いてるからだと思います。自身の想いを訴えるときに意識していることはありますか?

小林正夫さん

小林さん:聞いている人に自分の話が伝わっているかどうか。これは、組合役員時代から議員になった今も、常に意識していることです。また、横文字は使わないこと、話が長くならないようにポイントを絞ることにも心掛けています。しかし、なかなか対面で話ができないコロナ禍の現在、。注力しているのがウェブサイトやSNSを使ったタイムリーな活動報告の発信です。少しでも私の活動を身近に感じてもらえたらという想いから、投稿へのコメントへの返信も大切にしています。

連合君

組合員や支持者の皆さんとのコミュニケーションを大切にされているんですね。

小林正夫さん

小林さん:「現場の声」「生活者の声」をどれだけ聞けるかが大事だと思っています。国会で審議される法律の8割程度は今あるルールの改正です。生活や仕事の場で皆さんがルールに対して違和感を持つのであれば、それはルールが時代に合っていない可能性があります。現場の声を基にルールを改定していくことが国会議員の役割だと思いますし、私自身のやりがいです。

連合君

現場の声を基に国会議員として実現できたことがあれば教えてください。

小林正夫さん

小林さん:大きな例が2つあります。1つ目は、労働災害防止を一歩でも進めるために「あんぜんプロジェクト」を創設したことです。私自身も会社員時代に労働災害で仲間を失い、仕事に出掛けた家族が元気な姿で帰宅することの大切さを、身をもって感じました。このプロジェクトには、私の経験や現場の声、連合をはじめとした有識者の意見が反映されています。現在も厚生労働省のホームページ内に「あんぜんプロジェクト」の特設サイトがあり、958の事業所(2021年1月現在)から集まった労働災害の経験や、日々の仕事で安全に対して心掛けていることが共有されていて誰でも閲覧できます。

連合君

もう一つの例についても教えてください。

小林正夫さん

小林さん:先輩議員の時代から、長年に渡って連合と一緒に検討を続けた「求職者支援制度」を実現させたこと。雇用保険制度と生活保護制度の間の第2セーフティーネットにあたる支援制度です。コロナ禍で、多くの人が様々な理由で職を失っている現状をみて、改めてこの法案が成立して良かったなと思っています。どちらの例も、民主党政権時代のことです。

連合君

やはり政権を取るというの大きいのでしょうか。

小林正夫さん

小林さん:休職者支援法と同じように多くの法案を野党時代にも国会に提出していますが、審議すらされませんでした。政権与党だった3年3カ月の間には厚生労働大臣政務官も務め、野党でいたときの10倍以上忙しく苦労もありましたが、ルールづくりや改定などより暮らしやすい社会づくりに向けた取り組みの数々は、やりがいがありました。

連合君

小林さんのお話を聞いて、労働組合の代表が政治の場で活躍することの重要性を改め感じました。
これから議員をめざす人にアドバイスはありますか?

小林正夫さん

小林さん:国会議員は、特別に大変な職業でもなければ、偉い立場でもありません。ルールをつくって改善する活動は、労働組合の執行部活動と同じ。私は自分を国の執行委員だと思っています。ただし、国会にはさまざまな立場の議員がいて、労働組合のように同じ方向を向いた仲間が集まっているわけではありません。そのため、提出される法案も無数にあり、なかなか成立に向けた議論が進まないこともあります。そういう意味では、生活スタイルの異なる様々な人々の共同体である町内の役員を経験してみるといいかもしれません。職場の枠を超えて、町や国など世の中の執行委員になるチャンスが回ってきたときには、やりがいのある役割ですので、ぜひ挑戦して頑張ってほしいです。

連合君

最後に、次の世代へのメッセージをお願いします。

小林正夫さん

小林さん:結成30年の積み重ねを活かして、ナショナルセンターとしてこれからも、生活の底上げや労働災害に取り組んでいただきたいです。また、新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式の定着をはじめ、人工知能や通信技術の発展、グローバル化など急速な社会変化により、企業は業務体制の見直しや異業種との連携、海外への転出などを迫られ、労働者は今までにない新たな課題に直面するでしょう。そんなとき、スマホがようやく使える私たち世代を気にする必要はありません。明日はまだ誰も経験していないのです。若い世代の皆さん! 過去に縛られず、あなたたちの判断で新たな事業にチャレンジし、新たな働き方を創造し、新時代を切り開いていってください。

インタビューを伺ったメンバーと共に

interview

movie