各種競技みどころガイド
各種競技みどころガイド

競技一覧

アルペンスキー クロスカントリースキー バイアスロン
スノーボード アイスホッケー 車いすカーリング
アルペンスキー クロスカントリースキー
バイアスロン スノーボード
アイスホッケー 車いすカーリング

アルペンスキー

アルペンスキー

技術を駆使して
高速で滑り降りる花形競技

競技概要

雪山のコースに設置された旗門の間を正確に滑り降り、タイムを競う。障がいの種類によって、スタンディング(立位)、シッティング(座位)、ビジュアリーインペアード(視覚障がい)の3カテゴリーがある。種目は5つで、スピード勝負の滑走(ダウンヒル)とスーパー大回転(スーパーG)、技術を問われる大回転(ジャイアントスラローム)と回転(スラローム)、スーパー大回転と回転の合計タイムを競うスーパー複合(スーパーコンビ)の5種目。

競技の魅力

最後まで滑れるかの緊張感と雪面すれすれの迫力

アルペンスキー

スピーディーな展開で迫力満点の冬季の花形競技。選手は地形と雪質から巧みにコース戦略を練り、最後まで滑り切れるかが勝負の分かれ目となる。本格的な大会ほど、雪質はスケートリンクのように硬い。コースによっては最大斜度が40度を超える。座位の選手が使うチェアスキーは、時速100km超えの高速滑走や、雪面すれすれまで身体を倒したターンができるよう、障がいや身体に合わせてオーダーメイドでつくられ、チューンナップされている。

イチオシの選手

所属

マルハン(組合員)

クラス

LW11(座位)

限界までスピーディーに、攻めのスタイルで好成績に期待

1986年3月生まれ、北海道出身。スキーの指導員だった父の影響で、小学3年生で競技スキーを始めようとしていた矢先、交通事故で車いす生活に。中学1年生のとき、長野大会で見た滑降に衝撃を受け、パラリンピックをめざすことを意識。トリノでパラ初出場、スーパー大回転はバンクーバーとソチで金メダルを獲得。平昌はスーパー大回転と大回転で5位、滑降など3種目で途中棄権と苦戦していますが、限界までスピードを出す攻めのスタイル。冬季パラに5大会連続出場中の経験を活かして、ぜひ好成績を残してもらいたいです。

所属

KYB

クラス

LW12-2(座位)

恐怖と戦う、メダルに一番近い期待のスキーヤー

1988年5月生まれ。福島県出身。小学2年生のときに交通事故で両大腿を切断。小学3年生でチェアスキーと出会い、長野大会で金メダルを獲得した志鷹昌浩選手に恐怖心をどうするか相談したら「やめてしまえ」と一喝され奮起。中学3年生で世界大会のメンバーに選ばれるも、海外のコースに恐怖を拭えず、渋々出たら3位に。高校3年生でトリノに出場し、滑降4位。バンクーバーの大回転で銅メダル、ソチで回転・金メダルと滑降・銅メダルを獲得。平昌では4位とあと一歩、メダルに届かず、北京ではメダルを獲得してくれると期待しています。

クロスカントリー
スキー

クロスカントリースキー

駆け引きやデッドヒートの
勝負が熱い雪上マラソン

競技概要

アップダウンのある雪のコースをスキーとストックを使って走る。立位(スタンディング)、座位(シッティング)、視覚障がい(ビジュアリ—インペアード)の3カテゴリーある。障がいの種類や程度によってクラス分けされ、各選手に係数を設ける。順位は実走タイムに係数をかけた計算タイムで決める。立位と視覚障がいのカテゴリーでは、2本の溝を走るクラシカル走法と、スケーティング走法を用いるフリー走法の2種目。

競技の魅力

勝負を分ける体力と戦略

クロスカントリースキー

上り・下り・平地が各約3分の1の割合になっているコースで、走法と距離を組み合わせ、1kmのスプリント(短距離)、5〜10kmのミドル(中距離)、20kmなどのロング(長距離)と3種目で展開。体力や得意な勝負所に応じた戦略や駆け引き、抜きつ抜かれつのデッドヒートも見もの。腕力が原動力の座位、ガイド(伴走者)が選手に触れず声でカーブや上り下りを伝える視覚障がいも、障がいの特性を踏まえた熱い勝負が期待される。

イチオシの選手

新田 佳浩(にった よしひろ)さん
所属

日立ソリューションズ
(組合員)

クラス

LW8(立位)

冬季パラで金メダル3回獲得、後進育成にも注力

1980年6月生まれ、岡山県出身。3歳のときに左腕肘下を切断。長野パラ大会で競技を開始。ソルトレークの5kmで銅メダル、2003年世界選手権ドイツ大会では10kmで金メダルを獲得。トリノでは日本選手団の旗手を、バンクーバーでは日本選手団の主将を務めました。バンクーバーのミドル・クラシカルとスプリント・クラシカルの2種目で金メダリストに。平昌ではミドル・クラシカルで金メダル、スプリント・クラシカルで銀メダルに輝きました。小学5年生と2年生のお父さんの横顔も。「北京をこれまでの集大成とする」と強い覚悟をもって次世代の育成にも励んでいます。

阿部 友里香(あべ・ゆりか)さん
所属

日立ソリューションズ
(組合員)

クラス

LW6(立位)

自ら直接アタックする積極性、W杯金メダリスト

1995年10月生まれ。岩手県出身。出生時に左上腕機能不全となります。中学2年生のときにバンクーバー大会で自分と同じ腕に障がいのある選手がストック1本で滑る姿に感銘を受け、自ら日立ソリューションズの当時の監督へ連絡し、本格的にクロスカントリーを始めました。東日本大震災では自宅を失いますが、3年後のソチではロング・クラシカルで8位入賞、2016年W杯フィンランド大会のクロスカントリー・スプリント・クラシカルで金メダルに輝き、2017年世界選手権ドイツ大会のバイアスロン・ミドルで3位に。平昌では混合リレー4位に入賞。※阿部選手はバイアスロンにも出場します!

川除 大輝(かわよけ・たいき)さん
所属

日立ソリューションズ
ジュニアスキークラブ、
日本大学

クラス

LW5/7(立位)

強靭な精神とキレのある動きでメダル獲得狙うホープ

2001年2月生まれ、富山県出身。生まれながらの人差し指と中指のない両上肢障害。6歳でクロスカントリーを始め、14歳の出場資格を満たす前の13歳で日本代表の推薦により北海道旭川市のW杯にオープン参加で出場。スプリントフリーとミドルフリーで各11位に。2021年12月にカナダで行われたW杯ではショート・クラシカルとスプリント・クラシカルで4位に入賞しています。富山市出身で初のメダル獲得を狙う21歳のホープ。2020-2021の昨シーズンもジャパンカップ札幌大会のミドル・フリーとショート・フリーで優勝。自身の強みを「怖がらないメンタル」と「身体のキレがある」と自負しています。

バイアスロン

バイアスロン

スピードの動と正確さの静を繰り返す

競技概要

クロスカントリーのフリー走法と射撃を組み合わせ、競技タイムと射撃の成績を合わせて順位を競う。スプリント、インディビジュアル、ゴール到着順がそのまま順位になるパシュート、マススタート、4名のリレー、男女各2名のミックスリレー、男女各1名のシングルミックスリレーの計7種目。立位と座位はエアライフル、視覚障がいは音で的の位置がわかるビームライフルを使用。射距離50m、標的の黒点部は伏射が直径45mm、立射が115mm。

競技の魅力

射撃を外せばペナルティも、
問われる高い持久力と集中力

バイアスロン

スキーで速く走り、射撃を正確に打つ。静と動を繰り返す。射撃を外すと立位と視覚障がいは150m、座位は100mのペナルティループを外した弾数だけ周回してコースに戻るので、射撃の正確さがスキーのスピード以上に勝負を左右する。インディビジュアルは1発外すと1分を計算タイムに加算。走行による呼吸の乱れを素早く落ち着かせ、的を狙って引き金を引く、強靭な体力による持久力、高い集中力を保つ精神力が見どころ。

イチオシの選手

出来島 桃子(できしま ももこ)さん
所属

新発田市役所(組合員)

クラス

LW6

5大会連続出場中、得意のバイアスロンやクロスカントリーで活躍期待

1974年6月生まれ、新潟県出身。19歳のときに右脇の痛みで悪性腫瘍を摘出。右腕に力が入らない障がいが残り、手術から4年後の1999年、障がい者向けスキー体験会に参加。もともと左手1本でも剣道の3段に合格するほど運動神経に長け、努力家でもあり、2001年に日本障害者クロスカントリースキー協会の強化選手に指定。トリノから5大会連続出場中。バイアスロンには2008年から出場開始。39歳のとき現役最後と臨んだソチでは、得意の長距離のバイアスロンで運営側のミスにより、終盤までトップだったのに7位に。悔しさをバネに平昌へ挑戦。6km 13位、10km 9位、12.5km 9位と、入賞までもう一歩でした。2021年W杯はカナダでスプリント6km 6位、ミドル10km 7位と健闘しています。クロスカントリーも混合10kmリレーで4位でした。2022年2月には「1つでも順位を上げられるように頑張っていきたい」「できることをしっかりやって悔いの残らない大会にしたい」と語っており、北京ではバイアスロン3種目、クロスカントリー2種目の計5種目に出る予定です。※出来島選手はクロスカントリーにも出場します!

スノーボード

スノーボード

スピーディーで華麗な滑り、
雪上の格闘技とも

競技概要

上肢障がい(SB-UL)と下肢障がい(SBLL-1、SBLL-2)に分かれ、旗門コースを回転しながら滑り降りるバンクドスラローム、障害物のあるコースを滑走するスノーボードクロスを競技等級により計10試合開催する。バンクドスラロームは3回の最速タイムを競う。スノーボードクロスは単独走行のタイムで決勝の組み合わせを決め、決勝は複数人で争う。平昌から正式種目として導入された。北京では男女合わせて12競技を展開。

競技の魅力

変化に富むコースを卓越したバランスで滑走

スノーボード

スノーボードクロスは波打った雪面のウェーブや、キッカーと呼ばれるジャンプ台などの起伏をいかに滑りこなすかが醍醐味。2人の選手が同時にスタートし、相手選手と駆け引きしながら滑り降りる。接触も多いため、その激しさから、雪上の格闘技とも言われる。義足の選手らがストックを使わず、変化に富むコースを卓越したバランス感覚で滑走する姿はまさに圧巻。

イチオシの選手

小栗 大地(おぐり だいち)さん
所属

三進化学工業

クラス

LL1(重い下肢障がい)

20代でプロ経験、事故からわずか数カ月で復帰決意

1981年1月生まれ。名古屋市出身。小学5年生でスノーボードと出会い、留学後に25歳でプロへ転向したものの、成績が伸び悩み、金属加工工場へ就職。2013年夏に仕事中の事故で右足を失う。事故以前から片足のパラアルペンスキーヤー、三澤ひらく選手との交流があり、事故から数カ月後の年末にはスノーボードへの再挑戦を決める。2021年W杯イタリアでクロス第1戦と第2戦で5位、オランダでスラローム第1戦8位、第2戦5位。

成田選手に影響受け、次は自らメダル獲得狙う主将

平昌ではクロスが7位、バンクドスラロームは6位と健闘しています。そのときに選手村で同部屋だった成田緑夢ぐりむ選手の金メダルに刺激を受け、北京では「次は自分が」と2種目で金メダルを狙っています。2シーズン前からパラスノーボードのナショナルチームでキャプテンを務め、選手の意見のまとめ役としても活躍。北京でも、最高位の個人成績とチームのけん引役として頑張ってもらえたらと思います。

アイスホッケー

アイスホッケー

音も楽しめる氷上の格闘技

競技概要

下肢障がいの選手が専用ソリ「スレッジ」に乗り、短いスティックを左右の手に1本ずつ持つ。駆動用アイスピックが付いたグリップエンドで氷を押しながら漕いで進む。ボール代わりのパックをパスして、相手ゴールを狙ってパックを投げる。1チーム6人。リンクの端から4mのゴールラインをパックが完全に超えたら1点。1試合は1ピリオド15分×3ピリオドの計45分。終了時点で同点なら延長戦、それでも決まらなければペナルティショットで決着をつける。

競技の魅力

高速ドリブルやプレー中の音にも注目

アイスホッケー

「氷上の格闘技」と言われる通り、転倒し、スティックが折れるなど、激しくぶつかり合うボディチェックは見応え十分。パックをスレッジのフレームの下にくぐらせながら前進する高速ドリブルはパラアイスホッケーならでは。スレッジに付いているブレードで氷を削る音、スティックでパックを操る音、試合中断時とピリオド間で会場に流れるアップテンポの音楽と、音もパラアイスホッケー観戦の楽しみの一つ。

イチオシの選手

須藤 悟(すどう さとる)さん
所属

北海道ベアーズ

ポジション

ディフェンス

たびたび2位を獲得したチームで主将として活躍

1970年10月生まれ。北海道出身。20歳のとき、仕事中の事故で両下肢を切断。1997年、新聞記事でパラアイスホッケーを知り、地元のチーム・北海道ベアーズで競技を始める。2000年、世界選手権に出場。2002年、ソルトレークでパラリンピックに初出場。2010年のバンクーバー、2013年と2016年の世界選手権、さらに2017年の平昌パラ最終予選でも2位と健闘。2018年平昌ではキャプテンを務めた。

クラファンで国際試合決行した情熱を北京でも!

特技は、左右に握ったスティックでパックを宙に浮かせてパスする「フリップパス」。2010年バンクーバーでは銀メダルだったのに、2014年の措置は出場できず、悔しい思いをしたこともありました。そこで平昌に出場するために、クラウドファンディングで強豪のイタリアとチェコの代表を日本に呼んで国際試合をして、日本の弱点を分析した、情熱的な選手です。

車いす
カーリング

車いすカーリング

男女混成でギリギリをせめぎ合う氷上のチェス

競技概要

男女混成のチームが交互に円(ハウス)に向かってストーンを氷上で滑らせる。ブラシで掃く「スウィーピング」は行わず、手または棒状の補助具「デリバリースティック」で、助走なしでストーンをリリースする。選手は投球する順に「リード」「セカンド」「サード」「フォース」と呼ばれ、そのうち1名はストーンを狙う場所を指示する司令塔「スキップ」の役割を担う。1試合8エンド。1エンドにつき、各選手2つずつストーンが与えられる。

競技の魅力

勝敗の決め手はわずかなストーンの位置と得点の積み重ね

車いすカーリング

下肢障がいのある車いすに乗った選手が氷の上を滑らせるストーン位置の正確性を競い、『氷上のチェス』ともいわれる。ハウスの中心に最も近づいたチームが各エンドで勝ち。負けチームのハウスに最も近いストーンより、内側にある勝ちチームのストーンの数が得点になる。これを8エンド繰り返し、総得点で勝敗を決めるため、微妙な僅差の競り合いや、抜きつ抜かれつの接戦もあり、ハラハラドキドキの展開が期待される。

イチオシの選手

和智 浩(わち ひろし)さん
所属

チーム長野

ポジション

フォース・スキップ

日本選手権でチームを優勝に導いた実力の持ち主

2018年の世界選手権Bでは、日本代表のスキップとして出場。2021年5月に開催された日本選手権では、優勝候補の北見フリーグスとの最初の対戦で2-10と大敗し、続くチーム山梨との戦いにも敗れた。しかし、北見との2回目の対戦では、ハウスのそばにストーンを止める「ドロー」のショットを主体にした戦い方で勝利し、ease埼玉と戦った決勝でもじわじわと得点を積み重ね、第7エンドで和智選手の3得点が決め手となり、日本一に輝いた。

2026年新採用のミックスダブルス代表に選出

2021年3月に出場した大会ではドローの精度に苦しみ、ドローの練習を積み、氷の変化への対策も重ねて、日本選手権に臨んだ和智さん。村松由里さんとのペアで、ミックスダブルスの日本代表にも選ばれています。同種目は2026年にイタリアのミラノなどで行われる冬季パラリンピックから新たに採用されると暫定的に決まりました。出場国が10カ国と限られる車いすカーリングでパラリンピックに出る壁は高いですが、ぜひ出場枠を狙ってほしいです。