東村山市公契約条例制定に関する事務局長談話

掲載日:2024年12月27日

東村山市公契約条例制定に関する事務局長談話

―都内で19番目の条例―

連合東京   

事務局長 佐藤 重己

 

1.2024年12月24日、東村山市議会は、令和6年12月定例会本会議において、東村山市公契約条例(以下、「条例」という。)を全会一致で可決、制定した。条例は2025年4月に施行する。条例は、都内自治体で制定された公契約条例では19番目となる。

 

2.連合多摩北部地区協議会はこれまで、東村山市(以下、「市」という。)に対し、経済活性化等の効果がある労働条項型の公契約条例(以下、「労働条項型条例」という。)の制定を求めてきた。労働条項は、市発注の工事、業務委託、指定管理の事業者が労働者等へ支払う賃金・報酬の下限額(以下、「労働報酬下限額」という。)に関する規定であり、公契約条例の最重要の要素である。市が、労働条項に基づき、法定の最低賃金とは別に、地域の対象業務・職種の労働需給や賃金動向を考慮した一定水準の労働報酬下限額を定め、受注事業者に対し、その支払いに必要な労務費を含む発注額を支払い、事業者が労働者に労働報酬下限額以上の賃金・報酬を支払うことにより、当該事業の人材確保、労働者の処遇改善と労働意欲の向上、市の工事・サービスの品質確保と持続性向上、地域経済の活性化という効果が生まれる。東京都内の18自治体の公契約条例のうち、17自治体が労働条項型である。

 

3.条例は、労働条項がない、いわゆる理念条例であり、上記2の経済活性化等の効果は期待できない。条例は、第1条(目的)や第3条(基本方針)にて「労働者等の適正な労働条件の確保」を謳っているが、第8条(適正な労働条件の確保)にて「受注者等は、労働基準法、最低賃金法その他の関係法令を遵守し、労働者等の適正な労働条件の確保に努めなければならない」としており、労働者等の賃金・報酬の支払いに関し、事業者の義務は最低賃金の遵守にとどまり、条例制定前と変わらない。

 

4.一方、条例は、第6条(適正な公契約の締結)「市長は、公契約に係る事業の重要性、緊急性及び効率性を考慮して、適正な時期に適正かつ合理的な規模で公契約を締結しなければならない」、第7条(公契約の適正な履行及び品質の確保)「市長は、公契約の適正な履行及び品質を確保するため、価格、納期その他の契約条件が適正なものとなるよう努めなければならない」、同条の2「市長は、予定価格を算出するに当たっては、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格等を的確に反映して積算しなければならない」、同条の3「受注者等は、公契約の適正な履行及び品質を確保できるよう、労務費その他の経費を適正に積算しなければならない」と定め、市の適正発注とサプライチェーンの適正取引を促すものとして評価できる。

 

5.条例について、公契約条例制定の第一歩としては評価できるが、今後、連合東京は三多摩ブロック地域協議会、多摩北部地区協議会とともに、経済活性化等の効果のある労働条項型条例への改正を求めていく。併せて、周辺自治体において、労働条項型条例が制定されるよう取り組みをすすめる。

以 上

東村山市公契約条例制定に関する事務局長談話